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・店の名前 : 岸本工房 (木地師・塗師)

・代表者氏名 : 岸本 和彦

・住所 : 鳥取県境港


・木

宇宙から地球をながめると、青色と緑色と茶色が目立つそうです。

青は海、緑は森林、茶色は砂漠や都市です。日本は3分の2が緑色で、森林が多い国、自然が豊かな国だといえます。

豊かな自然は木などの植物だけではできません。もちろん動物だけでも豊かな自然は作れません。たくさんの動物や植物がお互いに助け合いながら生活(共生)しなければ、自然を豊かにできないのです。

『森は海の母』といわれます。どういうことかわかりますか?

豊かな森はおいしい栄養、豊かな水をたくさん貯える自然のダムの役割もしてきました。この森の水は、川を下り水田を満たし、海へ流れ魚や海藻やカキなどを育ててきました。

森は森で暮らす動物たちだけに恵みを与えてきたのではないことがわかります。

ところで、日本の森林の40%は人工の森=植林された森です。ここでは、人間の手で植えられた木と人間が共生してきたのです。木を植えて大切に育て、成長した木を建材や食器、薪や炭を作ったりしてきました。

私の仕事は木で食器を作ることです。豊かな森がないとできない仕事です。でも今、この森は死の森になっています。それは、人間が共生することをやめてしまったからです。人間が手入れをしなくなった人工の森は、動物たちだけでは支えきれないのです。

むかしむかしの大昔、大きな木が何千本、何万本も生えている緑豊かな国がありました。ある王様が神殿を建てるために木を切ることを命じました。森の木は次々に切られて立派な神殿と立派な街ができあがり、人々は豊かな暮らしを楽しむことができました。国中の木を切ってしまったこの国がそれからどうなったか?木がなくなった森はやがて砂漠に変わり、砂漠に囲まれた人々はそこで暮らすことができず、やがて街や神殿は砂漠の下に埋もれてしまいましたとさ。レバノンは砂漠の国ですが、不思議なことに国旗の真ん中に大きな杉の木が描かれています。この昔話はレバノンで本当にあったお話です(ギルガメシュ叙事詩を読むと、もののけ姫とそっくりなお話もあります)。豊かな森林は壊しすぎればなくなってしまいます。 人間が作った人工の森林は放っておくと壊れてしまいます。どちらも、人間に災いをもたらします。

これからも豊かな森林の恵みをいただくためにも、森林との付き合いかたを考える!これは自然豊かな日本で生活する私たち全員の課題です。木工をしながら、いつも考えています。これからどうすればいいか、皆さんもいっしょに考えていきましょう!